第四節 結び しかけとしての博物館入口
博物館の入口とは何か
博物館にとって入口とは一体なんであるかという問いに対して答えを見つけるために、第三章では博物館の入口空間を実際の博物館の入口を取り上げながら見てきた。まだまだ見るべきものはたくさんあるのを承知で、あえて書いた内容に絞って論じてみた。そこで見えてきた博物館の入口とは、来館者にとってははじめての博物館体験の冒頭部分を担い、決して立ち止まってじっくりと時間を過ごす場所ではなく、展示空間への通路としての機能をもった、博物館内部と外部をつなぐ中間領域としての役割をもった場所であるということである。
シンボル展示をはじめとする、特徴ある博物館の入口だけを見ていってしまったが、実際の博物館を見ていくと、まるで事務的なチケット販売、インフォメーション、そして来館者を監視し威嚇するような警備員の存在が指摘できるよな博物館も多い。特に事務的な入口としか表現の出来ない博物館入口というのは、まったくなんの来館者に対する導きのきっかけを作らず、ただ博物館側の要求のみを提示した入口も多く散見できた。
また博物館の入口を構成する要因に「人」というのも欠かすことのできない存在であったが、触れることが出来なかったのが残念である。ここで少しだけ述べるならば、明らかな違いとして日米の博物館で指摘できるのがひとつにインフォメーションやセキュリティといった「人」たちの姿で(注四九)あった。日本においては他の民間企業から派遣されるなどの受付業務的なインフォメーションであり、特に制服姿の女性を多くの博物館美術館で見ることが出来る。一方アメリカの博物館で多く見受けられたのは、定年を迎えた人たちが退職後ボランティアとして博物館のインフォメーションに座っているという環境であった。もちろん若い女性もいるが、日本ほど目立って女性だけがインフォメーションに座っているというのではなく、まさに老若男女とりまぜた人たちが、各博物館のチケット販売やインフォメーションで目にすることができた。これは博物館ボランティアという日本でも近年ようやく広まりつつある制度が、アメリカではすでにかなり古くからシステム化され博物館運営に一役買っているという事実をも見ていかなければならないことだったが、今回は博物館運営のなどに踏み込んだことは避けて書いた。まだまだ博物館運営については勉強中であり、実際日本の博物館運営については書物で読んだだけでは分からないことが多く、現在松戸博物館などでアルバイトをしながら少しずつ学んでいる最中である。今後の研究課題であるとともに、海外での事例を当たっていた時に感じた国ごとの歴史文化、そして社会環境の違いをしっかり認識した上で、今後の日本の博物館の将来を考えそして実際に博物館に関わって行きたいと考えている。
この章で扱ってきた博物館とその入口については、さまざまなしかけを施し来館者にとって博物館体験がどのようなものになるのかを決定付ける重要なファクターとしての入口を少しでも捉えることが出来たと思う。博物館にとって入口とはひとつのしかけである。
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